コント・ラフォン | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2004年03月06日 | |||||||||||||||||||||||
<特級モンラッシェ> 抜栓後すぐリーデル・シャルドネグラスへ。深みのある美しい金色。香りは閉じていて、以前飲んだ時の華やかさはなく、自らの殻に閉じこもったような感覚が面白い。口に含めば、するりと何の抵抗もなく口の中で解けるような、そんな感覚は、あたかも水の如しである。しかし、飲み込むと同時にやってくるバックテーストの途方もない大きさに、唖然とし、舌の両側を巧みに刺激する酸が、大地のエキスのごとくのミネラル感とあいまって、口の中に幸せを呼び込んだかのようである。うまみ成分が塊となって現れては、次から次へと襲ってくる感覚なのである。上品なハニー香と、うっすらとしたバター香が、球体のように存在し、何とも言えず夢心地の味わいをかもし出してくる。やはりモンラッシェは凄い。充実した質感を伴うのに、嫌味な重さはなく、極めてエレガントなタッチで飲み手を刺激してくるからだ。そして、しばらくはこの幸せな余韻に全身を預け、ふと目にも涙が溢れてこようとは、脱帽して跪きたくなる心境になるから不思議だ。 何もでしゃばることがなく、さりとてすべての要素がバランスよく配置され、あたかも球体のごとく味わいは、モンラッシェのモンラッシェたる所以なのだろう。閉じ気味の香り自体には、華やかかりし頃を知るだけに、やや残念な思いも忍ばせるが、それが熟成の過程というものであり、それを大幅に上回るうまみ成分の豊富さに、思わず頬も緩みっぱなしかもしれない。 今宵は某ご夫妻の第一子誕生と某女史の合格祝いというダブルハッピーのご相伴を預かる形で堪能させていただいた。関係各位に感謝である。 以上 |