コント・ラフォン 1997
試飲日 2001年7月26日
場 所    神奈川県内某所     
照 明 蛍光灯
種 類 フランス ブルゴーニュ地方AOC白ワイン
生産者 Domaine des Comtes LAFON
Vintage 1997
テーマ 水平テイスティング
ワイン MEURSAULT Clos de la Barre
MEURSAULT Perrieres
MONTRACHET

<はじめに>
 今回のコントラフォン超豪華テイスティングは二部構成です。第一部はムルソーの二大生産者であるコントラフォンとコシュデュリの1998年ビンテージを飲み比べ、両者の違いを探ろうというものです。こちらからどうぞ。そして第二部はコントラフォンを代表する3つのワインを堪能し畑の違いと世界一を競うコントラフォンの世界に誘われようというものです。ここでは第二部をレポートします。

<ムルソー・クロ・ド・ラ・バール>
 村名畑指定。単独所有(モノポール)。
 やさしい金色。高級かき氷のシロップを思わせるアロマが第一印象。桃のコンポートといったほうが上品さが表現できるだろうか。甘く上品な夢心地のような感激がある。口に含めば、上品で複雑な味わいが体全身を震わせてくる。ミネラルなパワフルさが構造の力強さを引き立てている。まさに極上の白ワインである。偉大だ。ムルソー独特の燻し香はないが、その代わり味わいに麦わらを彷彿させる。唾がとぼとぼ溢れだし、果実味も加わってなんだかとても優雅である。うまみ成分の塊。さらに余韻の長さは天下一品。
 うまあああああい。大感激である。


 <ドミニク・ラフォンのコメント>
検索中につき、しばらくお待ちください。

 <ロバートパーカーのコメント> 引用:厳正評価世界のワイン
潜在天然アルコール度13.3%のブドウからつくられた1997年のムルソー・クロ・ド・ラ・バールは、砂糖漬けの洋ナシ、リンゴ、スイカズラの甘い香りを漂わせる。桃、ミネラル、泥の要素がぎっしり詰まっていて、生命力にあふれ、ミディアムボディからフルホディの、深みのある豊かなスタイルをしている。ビロードのような舌触りがあり、濃厚で、非常に濃密で、賞賛に値するほど長いフィニッシュを伴う。2001年から2007年までの間に飲むのがよい。90-92。

 <ステファン・タイザーのコメント> 引用:インターナショナルワインセラー86
ヴァニラ、レモン、ヘーゼルナッツのアロマ・濃密で熟しているが、ジューシーでフレッシュ。潜在する豊かさにもかかわらずまだいくぶん固く包まれている。フィニッシュには消えそうで消えない持続性。申し分ないほど良くなるだろう。90-91。


<ムルソー・ペリエール>
 一級畑。ムルソーの筆頭評価。
 より深い金色。これぞ輝きを伴った世界最高峰の色合いである。クロドラバールで感じた極上の世界も、ペリエールに出会うった瞬間に、上には上があるものだと痛感させられる逸品。フルーティにして芳醇な味わいはこれぞ、コントラフォンである。ナッツ香はないが、花の香りが幾重にも組み合わされ、複雑ながら雑な感じはまったくなく、清純さを感じつつ心踊るワインである。うまみ成分が味覚を司る細胞ひとつひとつに染み渡り、ぎゅっと振り絞られたと思ったら、唾が滝のように流れ出てきた。まるで口の中が広大な海のようになってしまった感覚である。時間と共にナッツ香が重なり、深みのある重なりがあたかもミルフィーユ状態である。前回熟成の頂点を迎えた1986のペリエールを堪能したが、このワインが熟成するとあんな感じになるのかと、飲みながら将来の姿を思い浮かべられた。

 うおおおおおおおおおお。心から吼えたくなるワイン。身もだえしながら当主のドミニク・ラフォンに拍手喝さいの臨場感を伝えたくて仕方がなくなる。香りと味わいが心の頂点で絶妙に絡み合い、もうなんだか放心状態である。涙すら浮かべつつ、ほんとは少し泣いてしまった。最近の関心ごと、ムルソーとは何か。それはコントラフォンの1997ムルソー・ペリエールである。ここにひとつの答えがある。間違いなく、ある。


 <ドミニク・ラフォン> ワイナート10 P22より (P23に一面写真あり)
ペリエールもミネラルが強く上品だが、ジュヌブリエールより構造が大きい。

 <パーカー>
壮大な1997年のペリエールは石、ライム、花、爽やかな洋ナシの深遠なアロマを示し、大量のカラメルをかけたリンゴ、新鮮なバター、ミネラル、オークのスパイスな味わいが、弾けるように豊かでエレガントな個性のなかに感じられる。フルボディ、濃厚かつ濃密で、サテンのようになめらかな舌触りを持ち、コクがあって申し分なくバランスがとれており、並外れて長いフィニッシュを伴う。飲み頃予想は2002年から2009年余の間。93-95。

 <タイザー>
熟し切った、シトラスオイル、煙やヨードのアロマ。とても濃縮されていて、大柄でミネラリー。触感的な果実味が口の中を支配する。この年にしては途方もないレモンのようなフレッシュさを誇る。とても長くて、まるで噛めるような後味。このヴィンテージを代表するワインだが、次のワインはさらに印象的だ(引用者注・モンラシェのこと)。93-94。
 

<モンラッシェ>
 特級畑。ラフォンの畑はシャサーニュ・モンラッシェ村にあり、特級クリオ・バタール・モンラッシェと特級バタール・モンラッシェが交差する角にある。
 
 マッキンキンの金色は、かつて体験したことがない強烈な印象。トロトロの重曹感を伴い、濃くって強い、まさに強烈なワイン。別格中の別格。まさに脱帽し、跪いて飲むべし(デュマ)である。ペリエールで感じた頂点に、さらに上があったという印象。おそらくこれ以上はないだろうと実感させられる。TOP of WINE。耳の内側に残るうまみ成分は、天にも昇る気分である。うますぎる。このうまさは言葉では到底表現できない。もう言葉は要らない。共に飲む人たちの瞼にこそ、横顔にこそ、微笑にこそ、その的確な表現が見え隠れしている。世界一の共有。世界一の認識。目を閉じれば真実が見えてくる。

 私の場合、目を閉じればそこは、極楽浄土の世界。一昔前のある日、車で通った岩手県宮古市、三陸海岸・浄土が浜の海岸線がフラッシュバックしてくる。さらにはへとへとになって自転車でたどり着いた、あの畑が鮮明に思い出される。

 これ以上の液体が、この星には存在しないとすれば、あとはこのワインの熟成を待つしかない。10年後、20年後、30年後と移りゆく時の流れとともに、このワインがそばにあって欲しいものである。今のところ、最後の晩餐で飲みたいワインは、間違いなくコントラフォンの1997のモンラッシェをもう一度である。


 <ドミニク・ラフォンのコメント>
検索中につき、しばらくお待ちください。
 
 <パーカー>
1997年のモンラッシェは、ワイン・オブ・ザ・ヴィンテージの有力候補である。ラフォンは、これまでに彼が生産したなかで最高の2品のうちのひとつ(もうひとつは1992年)であると考えている。私は1996年のほうが好みだが、この品質のレベルに達すると、もはやどちらがいいかなどというのは些細なことにすぎない。石、ミネラル。スイカズラの花、砂糖がけのヘーゼルナッツ、甘くてスパイシーなオークといった、深みのあるアロマを示す。並外れて幅広く、純粋で、豊かな舌触りがし、この上なく輪郭も整っている。液化した絹のようであり、レッドカラント、ラズベリー、ミネラル、桃、アプリコット、洋ナシのコンポートの、非常に熟しているのに新鮮な味わいが感じられ、それがフィニッシュにまで続いていく。味わったときの中を舞うような気分は、いまだに忘れることができない。ブラヴォー! 95-97+。

 <タイザー>
焼けたような、燻したようなアロマには卓越した透明感がある。口当たりは熟し切った柑橘類やミネラルの風味。すでにうっとりさせるような口中での芳香を示す。力強い酸が深い風味を縁取り、広げる。フィニッシュには際立った熟度と格別のグリップを伴う。しかしこれは、モンラッシェの白ワインなら造りだすだろうと思われるたぐいのものだ。おそらく偉大な92年のようになるだろう。94-96。


<まとめ>
 ムルソーにはコントラフォンとコシュデュリーがいる。
 世界の辛口白ワインのトップ4の二人の実力をワインを飲んで痛感するところである。
 感謝と感激の夜は、興奮覚めやらぬまま、静かにふけていくのだった。
 もう一度出会えることを祈りつつ。


 <おまけ・二人のコメンテーター>
 今回ドリンキングレポートにパーカーとタイザーのコメントをそっくり引用してみた。実際にワインを飲んでみて感じることは、タイザーは本当にワインを飲んだのだろうかということだ。パーカーの意見には賛同する部分が多いが、タイザーのそれはパーカーの本を読んでから自分なりにまとめてみましたという感じがしないでもない。


以上
 


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