＜特級ジュブレ・シャンベルタン＞
　抜栓後すぐデカンタージュして、二時間半ほど待ってからブルゴーニュグラスへ。かなり濃い目のルビー色。香りには華やかなお花畑のニュアンスがあり、スミレやバラを連想させる香り立ちが嬉しくなる。カシスやブルーベリーも心地よく、イチゴのような赤系果実も脇を支えてくれている。口に含めば、ごつごつしたタンニンなど微塵も感じさせず、酸味のバランスに長けた極めて上品な味わいで、華やかさを伴った美しさが好印象。うまみもたっぷりのっていて、余韻も長い。これぞ優しいシャルム・シャンベルタンの手本のような味わいで、成功の名の下に、テロワールを意識させてくれる逸品だろう。

　先のアンブロワーズのコルトンと飲み比べ、あらためてコート・ド・ニュイの華やかさを知るところとなった。この華やかさは、それに接する者にとって、とてもサプライズもあり、そしてすうっと鼻腔を彩るパワー加減に、ピノ・ノワールの気品を感じるのだった。男性的なアペラシオンとして知られるジュブレ・シャンベルタン村にあり、ひときわ女性的で優しい味わいを達成するシャルム・シャンベルタンのすばらしさを認識、または再認識するなら、ジャンテ・パンシオは絶好の造り手であり、パリの三ツ星レストラン(たとえば、ル・サンク)で採用される理由も分かるというものだ。

　やさしくおいしい、これぞジャンテ・パンシオのワールドだ。


以上