ベガ・シシリア | |||||||||||||||||||||||||
試飲日 2005年9月10日 | |||||||||||||||||||||||||
<ウニコ 81> 抜栓後すぐにINAOグラスへ。とても濃い黒色系の色合いで、およそ24年前のワインとは思えない果実感が異様である。香は、カカオ、バニラ、カシス、スパイス、ブラックチェリーなどが予想以上に控えめに香っている。セメダイン香もあり、少し予想外の微妙なニュアンスを漂わせている。口に含めば、ジャム系の濃縮した味わいで、その存在感は、なるほど圧倒的である。構造的な骨格が凛々しく、ボディ感があり、うまみものっている。そして何より強烈な果実味が残っていて、私の予想をはるかに超えた果実の味わいが、ウニコ・ワールドへと私を誘ってくれた。 しかし、である。 ウニコはもっと、うまかいはずである。ちょうど5年前にこのワインとは出会っていて、それは当レポートでも紹介されていたりするが、ウニコの途方もないうまみ成分と永遠に続くと思われる余韻の長さが、このボトルからはあまり感じられなかった。(それは雲上にあるはずの孤高が、雲の下にあったという意味だが・・・) これはいくつかの要因が考えられる。まずは、グラスが小さすぎたために、本来の味わいをうまく開かすことが出来なかった点にあり、(個人的にはボルドーのグランヴァンと同様のグラスが最適かと・・・→私が持っていないグラスの代表格かも(笑)、またセラーから出した直後と言うこともあり、夏場の室温設定はかなり難しく、温度的にやや低かった可能性もあるだろう。また抜栓してからデカンタすべきか考えたが、今回はボトルからの味わいを重視して、今宵はそのままにしたことも一理ありそうで、またワインが花開く前に、飲み終わってしまったということも関係しているかもしれない。 あるいは単なるボトル差の可能性もあり、また、もちろん飲み頃を外している可能性もウニコの特性を考えると否定できなかったりもする。それはつまり、ウニコは十分な熟成を経て、飲み頃になってから出荷されるからであり、5年前と同じ時期に入荷されたワインということで、そこら辺が微妙に関わっている可能性があるためだ。 巨人ウニコへの挑戦は、うまいという点において全く否定されるものではないが、孤高のウニコを慮るがゆえに、今ひとつ辛口トークになってしまうのも、美味しいを知ってしまったが故の、まさに不幸のど真ん中なのかもしれない。 いずれにしても、もう出会うことがないと思っていたウニコ81との再会に、月日の流れを感じつつ、当時の模様も鮮明に思い出されるから不思議である。ウニコ81・・・忘れられないワインのひとつである。 以上 |