ルイ・ラトゥール | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2006年01月01日 | |||||||||||||||||||||||
<特級ロマネ・サン・ヴィヴァン レ・キャトル・ジュルノー> 二年ぶりにこのワインを楽しむ機会に恵まれ、関係各位に大感謝しつつ、少しばかり綴ってみたいと思う。2年前は確かにうまかったこのワイン、しかし今回はとても残念な結果だった。そう、ちっともおいしくなく、それは最近の同社の赤ワインの多くに共通する印象で、なんだかとても寂しい思いが否めなかったりするのだ。 まずは色合い。とても薄い色合いで、この色合い自体は最近の自然派ピノ・ノワールに見慣れたものとしては違和感はないが、エッジの透明感が広く、全体的にうすい褐色系の弱弱しさが97年というよりももっと前のビンテージを想像させた。香は閉じていて、抜栓直後のINAOグラスというハンデも持ちつつ、果実のニュアンスは少なく、きのこ主体の、完全に熟成モードに突入したかのような印象である。味わいは、薄口で、そのソフトすぎる味わいには、うまみ成分が伴っておらず、なんだか拍子抜けしたくなるほどのこじんまり感が残念だったりもする。 およそグラン・クリュに思えない、味わいのなさ。幾分感じられる焼けたようなニュアンスは、同社の醸造テクニックの特徴でもあるパスツリザシオン(いわゆる火入れ)の影響からなのだろうか。原因はわからないが、失われた果実味は、熟成によるものではないような気がしてならなかったりする。果たしてこのボトルだけが不具合だったのかと譲りつつも、最近同社の赤ワインのいくつかにはこの種のニュアンスも多く、赤ワインの難しさを感じるところである。しかし、2年前は確かにうまかったのだ。この二年間に何が起こったのだろうか。 そういえば数年前までは同社のHPにはパスツリザシオンの説明が記載されていたが、最近は削除されているようで、酒質の安定という効果が期待できる半面、高級ワインへの採用は果実味の喪失というリスクとあいまって、なかなか難しいのが現実なのだろうか。 いずれにしても白ワインでは定評のあるルイ・ラトゥールの赤ワインについては、いろいろ検証したいと思いつつも、そう安くない価格設定に二の足を踏むのと、流通的にもあまりご縁もないので、今回のワインはあまりおいしくなかったということだけで、筆を置くことにしよう。 2年前は、おいしかったのになあ。 おしまい | |||||||||||||||||||||||