ロベール・グロフィエ1999 | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2001年6月10日 (8月18日追加) | |||||||||||||||||||||||
<レザムルーズ>追加 8/18 白熱灯 某所 ロブマイヤーのブルゴーニュグラス バレリーナはこのレザムルーズを味わうために存在しているのだということを痛感すると共に、至福の時を共有させてもらった悦びに今もなお包まれている。感謝である。 色合いはやや紫が入るものの黒系果実のルビー色。深い色ながらグラスの足下に落ちると鮮やかにして輝くルビー色が目にうれしい。焦がした黒系果実のアロマは鼻腔の奥までしっかり届き、非常にふくよかである。御香も加わり、貴賓を感じる。甘すぎない甘味がなんとも上品であり、これぞグロフィエ節健在である。鼻から空気を出すのがもったいなく、しかしアロマを楽しむには香りを司る細胞にレザムルーズを触れさせなければならず、どうしても体外に香りが出てしまう。もったいない思いと共に、血液に溶け込んで身体全身に行き届くうまみ成分が、アルコール以上に夢心地にさせてくれる。うまい。繊細にしてしっかりした構造を持ち、グラスの影響を受けるものの、長熟タイプを予感させつつ今飲んで最高の味を醸し出す。この星に生まれたことに悦びを見出す瞬間でもある。 極上のピノノワールは、なぜこれほどまでに官能的なのだろう。おそらくそれは、グロフィエのレザムルーズを知り尽くした某氏の完璧なサービス(抜栓方法・温度・時間・グラスの選択・注ぎ方、加えて室内に流れるBGM)によるところが大きい。ワインを楽しむために何をすべきか。ワインの奥深さを大いに楽しみたいこの頃である。 <ブルゴーニュ> 紫がかった濃いルビー色は、新鮮さゆえだろうか。クロード・デュガを連想させるまではいかないが、やはり紫色ではある。アロマは華やかで、とてもこのクラスとは思えない。このアロマはいい。まさにピ・ノノワールである。飲む前からいよいよ期待は膨らむ。口に含めば、程よいタンニンが口内を刺激し、やさしい酸味がすっきりしている。うまい。うまみ成分が全体をやさしく包み込み、いわゆる1999年ビンテージの前評判通りの味わいである。それはつまり、強くて派手なのに品がいいということ。なるほどこのクラスにして90点がつけられる理由も飲めば納得である。ブルゴーニュという地方名ワインながらモレ・サン・ドニのいいワインを連想させるところはさすがである。このワインを一口飲めば、グロフィエ・ファンがあっという間に急増しそうな、そんな予感がする。 <ジュブレ・シャンベルタン> ブルゴーニュで感じた華やかさを、より強く感じる。紫色は明るい黒系のルビー色の後ろに隠れ、より私の好みに近づいた色合いである。花を感じる新鮮さと、より深い飲み応え。 さすがジュブレ・シャンベルタンである。格の違いを見せ付けている。ブルゴーニュとは価格差にしても1.5倍ほどあるが、味わいは2倍以上か。お買得感すら覚える。情報によればこの村の1999年の最高評価を勝ち得ているという。なるほど。うまいぞ。 <特級ボンヌ・マール> ううっう。これは偉大なワインである。エレガントにして、すごいパワーを持ち合わせている。丸い。そんな言葉がぴったり当てはまるワインである。何が丸いのか。それはワインの全体像が、である。濃く、強い味わいにもかかわらず、タンニンの渋さも酸味感も感じさせないからである。タンニンも酸味も探せばしっかり秘めているが、全体のバランス感覚がそれをうまみ成分に換えている。 ボンヌ・マールの評価としては、繊細で優雅なシャンボール・ミュジニー村にあって、この特級は独特なものがある。優雅なワインという評価はあるものの、若いうちは荒っぽさや動物香を気にする向きもあるからだ。しかし、このグロフィエの1999ボンヌ・マールはまったくエレガントである。うますぎてコメントするのがためらわれる。しばしの至福に酔いたい気分である。このエレガントさは花の香りからくるものだろう。土壌香がなく、そのために荒々しさも感じさせないのだろう。黒系果実にやや紫が入る色合いも、深みがあって、見ていて飽きない。当然のことながら余韻も長い。この裕福な余韻は部屋全体にも及び、感動の共有は何事にも代え難い。この感激はしばらくつづくのだった。 ちなみに98点評価にして最高評価らしい。 ボンヌ・マールは同じシャンボール・ミュジニー村の特級ミュジニーとよく比較される。個人的にはフレデリック・ミニレのミュジニこそがこの村を代表するものと思っていたが、どっこいグロフィエのボンヌ・マールも甲乙つけがたいというか、全身の細胞が心地よく震えている。偉大なワインを飲むということは、この星に生まれた奇跡に素直に感謝するところである。多謝。 以上 |