イヴ・ビゾー 白 | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2001年6月30日 | |||||||||||||||||||||||
<ビゾーのACブルゴーニュ・ブラン> 今回のワインは超レアものである。日本にごく少量入荷して、店頭に並んだ瞬間に売り切れたため出会いをあきらめかけていたが、某氏をはじめ関係各位のご好意により試飲する幸運に恵まれた。この場を借りて感謝申し上げたい。 このワインについては情報が少ないが、整理してみると次のことがわかった。まず畑は赤の特級畑エシェゾーの区画内にあるということだ。ヴォグエのミュジニー・ブランよろしくエシェゾー・ブランを名乗ってもよさそうな立地条件にある。ヴォグエのそれも、植え替えられて数年しか経たないためにACブルゴーニュを名乗っているが、このビゾーのブルゴーニュ格ワインもいつか特級になる日がくるのだろうか。楽しみである。ヴォグエほどの影響力があれば実現しなくもなさそうだが、ここはビゾーの政治力に期待したい。 葡萄品種は何になるのだろうか。香りからはアペラシオンが判断できない。葡萄品種もACブルゴーニュを名乗れる品種はわずかしかないが、何かを特定するには困難を極める。まずすっぱくないのでアリゴテは入っていないだろう。第一アリゴテが入っていればACブルゴーニュ・アリゴテとなるはずだ。白の銘醸地コート・ド・ボーヌ地区やシャブリ地区のシャルドネ系のアロマとも違う。デュジャークやドニ・モルテのコート・ド・ニュイ地区の同ランクの白ともまったく異なるアロマを発している。彼等のワインはマロン香と燻し香が立ちこめる極上のシャルドネだったのだから。 推定するにこれは、ピノ・ノワールではなかろうか。その名にスミレと書かれているとおり、花の香り、特にスミレ(ビオレット)のアロマを感じるからだ。バイオ・ピノノワールかもしれない。モレサンドニの白の一級モンリュイザンよろしく複数の葡萄品種が入っていそうでもあるが、畑の場所がエシェゾーであることを考えるとピノノワール単独かもしれない。エチケットにはブラン(白)またはシャルドネの表記はない。色がない赤ワインとしてのブルゴーニュとしても不思議ではない。ピノノワールであるならブルゴーニュと名乗ることはAOC法に則っている。ますます不思議である。 味わいは不思議な感触の中にもすっきりした飲み応えがある。夏の暑い時期にも味わえる飲みやすさもあるが、それでいてコクもある。飲み終えてもなお、喉元に引っかかっているような印象もある。やはりシャルドネの味とは異なるように思えるが、何やら体験したことがない味わいに戸惑いを覚えるとともに、なんだかとても楽しい気分である。 さらに値段を聞いて驚いた。コシュデュリーのブルゴーニュよりも安いが、コシュデュリーのアリゴテより高い。もしレストランで注文すれば確実に大台に乗る価格設定は、ちょっとびっくりである。赤ワインの銘醸地にして赤の造り手だからである。貴重価値がその価格に影響しているのだろう。もう一度出会える確証はないが、常に意識していたいワインである。もし店頭に並んでいたら、即購入したいワインである。 2002/10/10記事の訂正(ドメーヌで直接確認した事項) 畑の場所 = ヴォーヌ・ロマネ村内にあり、クロ・ド・ヴージョの石垣と接している。区画名がヴィオレット。 文中のエシェゾーの区画内というのは完璧な間違い。 葡萄品種 = シャルドネ 100% ここまで事実関係が違うとこのレポート自体をボツにせざるをえないが、このとき以来お目にかかれていないので、抜本的な訂正は再度試飲後としたい。 以上 |