にっぽんハッピーワイン


旭洋酒のあたたかさ 2007/03/27

 2007年03月11日、ブルゴーニュ魂は、平塚のハッピー・キュイジーヌ ブラッスリーHxM(アッシュエム)さんと姉妹店のmoto Rosso(モト・ロッソ)さんと共同で、山梨県山梨市に本拠地を置く、旭洋酒の当主 鈴木剛さんと、奥さんの順子さんを両店にお招きして、ワインセミナーとメーカーズディナーを開催しました。

 式次第は、こちらを参照してください

 旭洋酒といえば、夫婦二人だけのワイナリーとしても、また栽培が難しいといわれるピノ・ノワールを醸造する造り手としても知られ、新たなる醸造免許の交付が難しい山梨県にあって、みごと独立を果たされた話は、日本ワインを知る人には有名な話のひとつになっています。今回、いろいろなご縁があって、平塚の地に鈴木夫妻をお招きできたことは、大変光栄なことであり、ここに改めて御礼申し上げるしだいです。

 旭洋酒は、葡萄にこだわっています。自分たち(夫婦と契約農家さん)が育てた葡萄を、丹精に育て上げ、決して海外からの原料をワイン醸造に用いることはありません。特に、白ワインに関しては、地元を代表する葡萄、甲州だけを栽培し、甲州へのさまざまなアプローチを実践し、甲州ワインの可能性とおいしさを実現しています。甲州において、ホールパンチ方式と呼ばれる破砕除梗しない醸造方法を採用する会社は、意外に少ないようで、その独特の手法と樽の使用方法へのこだわりから5種類の甲州を醸造し、それぞれに美味な味わいを、飲み手に提供してくれているのです。今回は4種類を比較しながらの楽しいひと時を共有させていただきました。

 なぜ、ホールパンチ方式を採用しているのか。きっかけはとても些細なことのようでした。剛氏は笑いながらそんな質問に答えてくれます。「プレスのときに、破砕除梗の機械が動かなかったから・・・。」怪我の巧妙なのか、そんな偶然が旭洋酒の甲州を特徴づけ、それは温かみのあるまさに「ソレイユ=太陽」の味わいをグラスに見つけることができたのです。それ以降、毎年ホールパンチ方式を採用し続けています。

 そして今回のメインイベントは、HxMのスタッフとともに収穫したピノ・ノワールが、ようやくワインとなってリリースされるのに伴った発表会でした。栽培が難しい上に、ロマネ・コンティを筆頭とする官能的な味わいを表現しうるピノ・ノワールという品種は、飲み手の理想も高くなりがちで、高温多湿な日本の大地にあって、それは挑戦というカテゴリーに入る葡萄品種なのかもしれません。(日本で商業ベースに栽培しているところはごくわずかです)

 そして、そのピノ・ノワールは、他の品種に比べても、決して安くなく、それでもその価格設定をしても利益を伴わない、夢的なワインだったりもします。そんなピノ・ノワールを造り手本人と、収穫した人たちと、それを楽しみに着席してくれた人たちとともに味わうことに、なにかとても美しい風景を見る思いがするのは、私だけではないと思います。

 造り手とともに味わう日本ワイン。日本語が通じ、アニメやドラマ、スポーツなどの共通の話題も事欠かず、素敵な夕べは酔いも回るごとに楽しくなってきます。菊池シェフの自慢のお料理と、相山オーナーのきめの細かいサービスが、二人のワインを彩るとき、時空を超えた喜びを意識するのです。収穫から1年半以上の歳月を経て、今宵HxMのテーブルに置かれたピノ・ノワールのワインは、その月日の重みと早すぎる歳月の駆け足に戸惑いながら、すすぎ夫妻とご参加いただいたみなさんの頬を赤く染めていきます。

 おいしいワインは、おいしいお料理に好く合うことを造り手本人にも体感していただきたい。そんな裏テーマとともに、お送りしている日本ワインを楽しむ会 IN 湘南。旭洋酒のワインのイメージにマッチするイソップ童話の北風と太陽の話を思い出しながら、湘南のハッピーキュイジーヌの夜は、楽しく更けていくのでした。

 また当日の模様は、ご参加いただいた某氏のブログでも紹介されていますので、リンクを貼らせて頂きつつ、いろいろありがとうございました。


 なお、次回は、4/22イケダワイナリーの会を予定しています。


以上




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