コント・ラフォン 1993
試飲日 2001年8月26日
場 所    神奈川県内某所     
照 明 蛍光灯
種 類 フランス ブルゴーニュ地方AOC白ワイン
生産者 Domaine des Comtes LAFON
Vintage 1993
テーマ 1993
ワイン MEURSAULT Clos de la Barre

<ムルソー・クロドラバール>
 ムルソーの特徴である燻したナッツ香は感じられず、いわゆるムンムンしたムルソーではない。されどこれは極上のムルソーである。すっきりした味わいに反して、濃いうまみ成分が骨の髄に染み渡る。いい。8年の熟成を経て、絶妙なバランスで折り重なっている。鼻に残る豊かさと、舌に残る上品な酸味、熟成が織り成すミルフィーユ系の重なり。すばらしい。これぞドミニク・ラフォンのなせる技である。
 
 この味わいは何かに似ている。そう。1986のムルソー・ペリエールにである。価格はもちろんのこと畑の格と歳月の違いにより、正直ペリエールには遠く及ばない。しかしプチ・1986ペリエールといった風格を持っている(余談:ペリエールは女性名詞のため小さいと言う意味の形容詞プチはプチットになると思われるが、Petites Perrie`res)。あの夜の感動が鮮やかに思い出され、あの味がコントラフォンの基準になってしまっていることに気づいたりする。あの最高に一歩近づき、とても裕福な夜にうっとりである。

 ちなみに先月試飲した1997とは、また違う味わいである。1997が華やかさを基調としているのに対し、1993は静かな豊かさを感じ入る。おそらく熟成度の違いとビンテージの特徴の差だろう。なにせ造り手も畑も同じなのだから。年号が違えばワインは別物。楽しみは尽きないのである。なんとしてでも他のビンテージを味わいたい衝動にかられつつ、コント・ラフォンの価格が目に沁みる。個人的には1993と1997の優劣はつけられない。熟成感を楽しむも良し、果実味を堪能するも良し、出会った時が飲み頃の信条のまま楽しみたいものである。再び出会えることを願いつつ・・・。


<参考1997クロドラバール>
 やさしい金色。高級かき氷のシロップを思わせるアロマが第一印象。桃のコンポートといったほうが上品さが表現できるだろうか。甘く上品な夢心地のような感激がある。口に含めば、上品で複雑な味わいが体全身を震わせてくる。ミネラルなパワフルさが構造の力強さを引き立てている。まさに極上の白ワインである。偉大だ。ムルソー独特の燻し香はないが、その代わり味わいに麦わらを彷彿させる。唾がとぼとぼ溢れだし、果実味も加わってなんだかとても優雅である。うまみ成分の塊。さらに余韻の長さは天下一品。
 うまあああああい。大感激である。


以上
 


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