クロード・デュガ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2001年12月22日 | |||||||||||||||||||||||
<はじめに> 今回は某氏提供により、クロード・デュガの特級ワインを堪能させていただいた。レポートに先立ち感謝申し上げる次第である。そして今回のワインの試飲にあたり、複雑な思いが錯綜していた。 まず造り手である。クロード・デュガはブルゴーニュを代表する造り手にして、徹夜してまで買い求める人たちがいる憧れの造り手である。ネット上でも常に注目を浴びて、高値で取引されている。しかし、私は今一つ好みではない。ACジュブレ・シャンベルタンを1995から1999まで試飲した結果、特にフィーバーしなくても良いとの結論を持っていた。それゆえドリンキングレポートにも一本しか登場しなかったりする。 次に1994というビンテージである。残念ながらブルゴーニュのビンテージを論じる場合に、1994は例外として扱われている。この年のワインをもって造り手の評価はしないという暗黙の了解があるほどである。残念な年だけに、デュガをして、どんなワインになっているのか興味がわく。数本の経験から1994は避けて通っていたビンテージなのである。 そして試飲順である。同時に飲む予定の1999のグロフィエのレザムルーズの前に飲むべきか、格付に従い後に飲むかは判断が難しかったりする。重く深いワインは後に飲む必要があるからである。結局はホストの判断によりメインとして酉を取ることになった。 <シャルム・シャンベルタン> 抜栓後すぐINAOグラスへ。室温、ややひんやりする温度。黒系の深いルビー色は、茶色見がかり熟成の域に達しつつ、上品な色合いである。そしてびっくりすることにエッジにデュガ特有のムラサキがない。ムラサキのないデュガは初めてであり、心に動揺が走る。香りにもデュガ節はない。人工的な妙な甘ったるさはなく、黒系果実味のクラシックな香りである。どちらかといえばデュガ・ピィ系のシックな果実香である。いい。口に含めば、しっかりしたタンニンが歯茎を乾かすほどの勢いを持ちつつ、熟した果実が頬を緩ませる。うまい。構造的な奥行きがあり、やさしい優雅さを持ち合わせている。今飲んで大変おいしいが、5年後はもっとうまくなっていそうな予感がうれしくなる。余韻も長く、非常に偉大なシャルム・シャンベルタンである。 <まとめ> 今回のワインは、もし仮にブラインドでサービスされれば、シャルム・シャンベルタンを言い当てることはできても、1994というビンテージは予想外であろう。そしてなによりこのワインをデュガと的中させるには、デュガを知らないか、とことんデュガを飲み尽くした人にしかできない芸当だろう。この意表を突いた味わいは驚きと共に、デュガを見る眼が確実に変わる逸品である。こんな一面も持ち合わせているのかと思うと、次回の入荷には某店に並びたくもなってくる。そして1999レザムルーズの後に飲んで全くの正解であり、この深い味わいは、グランクリュの堂々さが伝わってくる。偉大なワインに感謝である。 <参考> ロバート・パーカーの厳正評価世界のワイン(注)において、デュガの1994は一本も紹介されていない。 以上 |