ドミニク・ローラン | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2003年03月09日 | |||||||||||||||||||||||
<ニュイ・サン・ジョルジュ 1級 レ・サン・ジョルジュ> 抜栓後すぐINAOグラスへ。濃い目のルビー色で、エッジに若干のガーネットが見受けられる色合い。砂糖漬けを思わせる甘い果実香がゆったりと漂い、なかなかいい感じである。口に含めば、不味い。苦味成分が際立ち、不快感ともいうべき違和感が口の中を支配し、今にもほき出したくなる心境だ。それでも、これも勉強のうちと、しばらく口の中に留めるが、不快感は募るばかり。どうしようか悩んだあげく、とりあえず飲み込んでみた。ゲッ。マズ。余韻も何もなく、ただただ気持ち悪さが残る逸品だった。 原因は、情報によれば残留酵母の再発酵かマロラクティック発酵不良かと推測される。甘い香り立ちのため、いわゆるブショネとも違う。ボトルも汚れたところはなく、温度による劣化でもなさそうだ。一説には、かつてドメーヌ・ポンソで発生した1995のジュブレ・シャンベルタン(パーカーズポイント67? )と同様の現象ともささやかれ、そして先月出会ってしまった、ヴァンサン・ジラルダンのムルソー・ジュヌブリエール1997とも同じ現象だろう。ともかくこの味わいは、かなり寂しく、エルバージュ(ワイン育成)の天才ドミニク・ローランにして、俄か信じがたい現象だ。今回のロットは某所各地で6本試飲されたが、そのすべてが今回と同じ味わいだったというから尋常ではない。 また未確認ながら、1997のドミニク・ローランの違うワインからも同様の報告がされているという。他のワインについては現時点では何とも言える立場にないが、ニュイ・サン・ジョルジュの筆頭畑、1級レ・サン・ジョルジュに関しては、非常にリスキーであることは断言できるだろう。某所では販売を断念し、店頭から撤去された。 ワインは、時間とともに衰弱し、最後の綱の甘い果実香も姿を消し、今一度口に含もうものなら、完璧な不快感が全身を襲うので、料理酒としての活用も断念し、あえなく流し台送りとなった。残念である。 以上 |