＜ブルゴーニュ・ブラン＞
　極薄い金色は輝きをもってINAOグラスに注がれた。これが通称「ドニ・ブラン」の1999なのか。覗き込むようにグラス開口部に鼻を近づけると、新鮮なフルーツ香が出ている。マスカットのような白系の葡萄の瑞々しさに満ちている。1996のマロン香や1998のオレンジ香はないようである。味わいはすっきりした飲みごこち。爽やかである。

　全体的な印象としては「軽い」タイプの白ワイン。うまみ成分を持ちつつ、爽やかな飲み口は食事と合わせやすく、いわゆる良い白ワインである。ただしこのワインはドニ・モルテのワインとして飲むからこそ興味深く、普通の造り手ならば素通りしてしまいそうでもある。シャブリのような切れ味やマコンのようなクリーミーさはなく、いわゆる赤の大銘醸コート・ド・ニュイ地区の珍しいワインという位置付けを意識せざるを得ない。残念でもあるが、ACブルゴーニュの格付けからすれば、高得点はとっている。ドニ・モルテだからこそ、期待と実際の差に少し戸惑うのである。

　ただしここで価格についても考慮する必要がある。購入ルートが違うので単純な比較は出来ないが、1999は1998の半値である。価格の高い順に並べると1998・1996・1999の順になり、味わいは1996がグランクリュ並の偉大さを持つものの、1998と1999は極うまいACブルゴーニュの枠に入っている。

　愛しのドニ・モルテが徐々に視野から遠ざかっていく。これはいかん。最近ドニの赤を飲んでいないので、近いうちにドニ大会を実施して、その実力とおいしさを大いに堪能したいところである。それにしても希少な「ドニ・ブラン」を3ビンテージ飲み比べる幸せに感謝である。特に今回のワインはご近所の某夫妻のご好意により実現した。この場を借りて感謝の意を伝えたい。Merci beaucoup。


＜ドニ・モルテ　レポート＞
クロ・ド・ヴージョ1997
ブルゴーニュ・ブラン1996
ブルゴーニュ・ブラン1998


以上