コント・ラフォン 1998 ペリエール
試飲日 2001年9月4日
場 所    都内某所     
照 明 白熱灯
種 類 フランス ブルゴーニュ地方AOC白ワイン
生産者 Domaine des Comtes LAFON
Vintage 1998
テーマ 1998
ワイン MEURSAULT Perrieres

<ムルソー・ペリエール>
 濃い金色はつくづく上品で、貴賓に満ち溢れている。とろみ感が十二分にあり、麦わら系のバター香が、なんとも裕福である。温かみのあるアロマにはナッツ香も現われ、他のビンテージにはない悦びがある。複雑にして新鮮な味わいの塊。うまい。
 17.5℃でのテイスティング温度はこのワインを楽しむのに最適の温度と思われる。これ以上に冷やしてもおいしいこと間違いなしだが、この味わいに達するまでは少し時間もかかろう。価格の問題により一本丸々味わえないものとして、この完璧な味わいが最初からあるとこの上なく幸せだったりする。つばがドボドボあふれだし、これはもう、うまみ成分の塊である。完璧である。
 INAOグラスには僅かしかペリエールがない。一滴一滴をもったいぶるように味わうと、とことんうますぎて泣けてくる。コントラフォンはごくごく飲んではいけない。少しずつ、舌の上に乗せてやると、身体全身にうまみが染み込んでくる。感激である。次第にマロン香も現われ、なんだかコントラフォンはいつでも夢心地である。

 個人的には1998はモンラッシェよりもこのムルソー・ペリエールに軍配を上げたい。価格は3倍の差があり、AOC違いの特級と一級を比べても意味はなさそうであるが、1998のモンラッシェでは味わえなかった感動が、このグラスには満ちていることも否定できなかったりする。ワインはおいしい。されどこのペリエールは別格中の別格である。
 これまでにペリエールは3ビンテージ試飲させてもらった。熟成の頂点を味わう1986・最高傑作の1997と比べるとその味わいには明らかな差があり、極上の味わいにもいろいろあることを知るだけで貴重である。どうか感謝の夜が醒めませんように。


<参考 ムルソー・ペリエール1997>
 より深い金色。これぞ輝きを伴った世界最高峰の色合いである。クロドラバールで感じた極上の世界も、ペリエールに出会うった瞬間に、上には上があるものだと痛感させられる逸品。フルーティにして芳醇な味わいはこれぞ、コントラフォンである。ナッツ香はないが、花の香りが幾重にも組み合わされ、複雑ながら雑な感じはまったくなく、清純さを感じつつ心踊るワインである。うまみ成分が味覚を司る細胞ひとつひとつに染み渡り、ぎゅっと振り絞られたと思ったら、唾が滝のように流れ出てきた。まるで口の中が広大な海のようになってしまった感覚である。時間と共にナッツ香が重なり、深みのある重なりがあたかもミルフィーユ状態である。前回熟成の頂点を迎えた1986のペリエールを堪能したが、このワインが熟成するとあんな感じになるのかと、飲みながら将来の姿を思い浮かべられた。

 うおおおおおおおおおお。心から吼えたくなるワイン。身もだえしながら当主のドミニク・ラフォンに拍手喝さいの臨場感を伝えたくて仕方がなくなる。香りと味わいが心の頂点で絶妙に絡み合い、もうなんだか放心状態である。涙すら浮かべつつ、ほんとは少し泣いてしまった。最近の関心ごと、ムルソーとは何か。それはコントラフォンの1997ムルソー・ペリエールである。ここにひとつの答えがある。間違いなく、ある。


以上
 


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