デュジャーク | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2001年11月28日 | |||||||||||||||||||||||
<味わい> 抜栓後すぐINAOグラスへ。やや茶色みがかった美しい赤系ルビー色。この色合いからしてデュジャーク節満開である。口に含めば奥深いふくらみのあるやさしさ。しみじみとした品があり、なんともエレガントである。んんん。唸りたくなるほどうまい。うまみ成分の塊が、口を中心とした半径30cmほどの球の中で優雅に漂っている。いつまでも続く余韻。鼻から抜いた空気をそのまま身体に戻したくなるほどの芳醇な香りには、細胞レベルでの悦びに満ちている。傑作である。目を閉じて楽しめば、もうブルゴーニュの虜である。 以前同じビンテージの村名を堪能したが、今回も基調を同じにしながら、よりふくよかさと豊かさを強調してくる。そして村名で感じた、もう出会えないかもしれない不安が払拭される思いである。またレベルアップして、出会えた。感激の極みである。 <余談1> このモレ・サン・ドニ1級は1997年が初ビンテージである。畑名を指定しないのは、AC内の特級の格下げと複数の一級畑のブレンドのためだという。以前は村名ワインとしてリリースしていたが、当主の交代とともに一級に格上げされたという。デュジャークの1997年の評価は今一つだったが、1998年の偉大な評価の影響を受け、この年の評価も見直され、その評価はうなぎ上りということで、ますます入手が困難になってきた。 <余談2> 今回のワインは1万円を越える高価なワインである。しかしその価格を、安い、超お買い得と思わずに入られない経済感覚の混乱を覚える。そして誰かにこの味を伝えたくなる。ワインをあまり飲まない友人を3人くらい呼んで、一人2000円会費で残りを自分が負担したとしても、この味を伝えたい。全額負担してもかまわないが、ワインの奥深い世界への入場券的にもそのくらいの負担をしてもらいたい。この細胞が震えるほどの感動を、いくらかでも負担してもらうことで、このデュジャークの中に見つけてもらえそうだから。ただ惜しむらくはなかなか入手できないのが、ブルゴーニュの辛いところである。 <余談3> ブルゴーニュの入り口の案内人にはこのデュジャークか、コートドボーヌならばジャン・ガローデをお奨めしたい。この二人のワインに共感してくれたら、きっとその人とは長いお付き合いができる。逆に「色が薄くてすっぱいね」と言われたら、その人との出会いにはご縁がなかったものとしてあきらめよう。それはちょうど「雨の日には車をみがいて」五木寛之著角川文庫の第1話「たそがれ色のシムカ」に出てくる話と共通している。 「車は雨の日にこそみがくんだわ。ぴかぴかにみがいたボディに雨の滴が玉になって走るのって、すごくセクシーだと思わない? 雨の日に車をみがくのをいやがる男なんて最低ね」P36より引用。 主人公の女ともだちは、そう言ってビジネスチャンスを逃したが、読者・特に私の心にそのメッセージはしっかり届いた。そうさ。雨の日には車を磨いて。ブルゴーニュはデュジャークとジャンガローデから。なんか共通しているようで、無理やりな展開かな。 <デュジャーク ドリンキング・レポート> モレサンドニ 1997 ジュブレ・シャンベルタン1級オーコンボット 1996 モレサンドニ 1級 1998 シャンボール・ミュジニ 1998 以上 |