＜はじめに＞
　今回のテイスティングは特別企画です。ブルゴーニュを代表する造り手の1998年ビンテージのシャンボール・ミュジニを飲み比べて、大切な夜に最高の飲み方で味わうための準備をしようというものです。同一条件によって飲み比べられたシャンボール・ミュジニは、大変興味深く、とても印象的な夜であった。次に飲むとき、今回の経験を是が非でも生かしたいところである。飲み比べたワインは下記の通り。この場ではデュジャークについて語りたい。

デュジャーク	1998	シャンボール・ミュジニ
アンヌ・グロ	1998	シャンボール・ミュジニ　ラ・コンブ・ドルボー　(1級)
ヴォグエ	1998	シャンボール・ミュジニ　1級
ユベール・リニエ	1998	シャンボール・ミュジニ　1級　レ・ブード

＜味わい＞
　抜栓して細めのデカンタに移して蓋をし、待つこと30分。室温。INAOグラスへ。
　深く品のある赤系のルビー色。すっきり辛口に仕上がるうまみ成分に焦がした砂糖の香りが微かに加わって、デュジャーク節がここシャンボール・ミュジニでも発揮されている。歯茎を程よく刺激するタンニンと、固さを持ちつつそれでいて滑らかな喉越し。いつまでも続く余韻に、しばしの時を楽しむことができる。
　
　シャンボール・ミュジニ専用グラスの異名を持つロブマイヤーへ注ぐ。INAOで感じた固さは程なくなくなり、シルキーな味わいが強調されている。うまい。しばらくして二口目を飲むと、やや違和感を感じた。味わいに構造がなくなっている。ただの赤い水になりつつあった。まだ残るINAOはまだ形をとどめているが、ロブマイヤーはあっという間にその生涯を終えてしまった。至極残念である。
　
　原因は何か。想像するに、デカンタに原因を推測できる。繊細なシャンボールの村名格は、細めの蓋付と言えどもデカンタに耐えるほどの力を持っていないのだろう。食卓で複数の人々とこのワインを楽しむとき、デカンタは必要になるだろう。飲むその瞬間からおいしいからだ。ゆっくりと移り変わる味わいが、絶頂を迎える直前に飲み干してしまっては、いかにももったいない。複数のワインを大勢で楽しむときはデカンタは必須かもしれない。
　しかし二人でゆっくり楽しむならば、大きめのグラスでゆっくり味わうのがいい。移りゆくブルゴーニュの官能の世界を数千円で楽しむことができるからだ。デュジャークはおいしい。特に1998の評価の高さは、価格にも反映しつつある。今のうちに大いに楽しみたいものである。ぜひもう一本飲みたい。
　つづいてドメーヌ・アンヌ・グロ。


＜デュジャーク　ドリンキング・レポート＞
　モレサンドニ　1997
　ジュブレ・シャンベルタン1級オーコンボット　1996
　モレサンドニ　1級　1998


以上